
日本の高校生の学力はいまだに低下しています。
不思議に思いませんか?
今の時代、高いお金を払って教育コンテンツを購入する必要はもうありません。
なぜなら現代を生きる高校生は、スマホさえあればYouTubeで主要5教科の映像授業はすべて無料で視聴することができるからです。しかもどれもめちゃくちゃわかりやすい授業です。
スタディサプリやN予備校などは有料ですがそれでも月額1000円~2000円程度で有名講師のハイレベルな授業を受けることができるんですよ。
そうなってくると、現代の日本において、住居地域による教育格差や、世帯年収による教育格差はすでに解消されたも同然だと考えるのが普通じゃないでしょうか。
にもかかわらず高校生の学力は低下の一途をたどっています。そしてもちろんそれが大学生の学力の極端な低下につながっています。
今回は、勉強をするためのツールやコンテンツはほぼすべて手に入れている日本の高校生の学力が、なぜ低下の一途をたどっているのかを考えてみました。
日本の高校生の学力低下の原因は?
①親の実質賃金の低下が根本にあるから
いや親の賃金は関係ないだろ?そんなの本人次第でしょ?
という人も多くいます。
ただ、学力と親の年収はほぼ比例します。
なぜなら、こどもの教育はお金がかかるからです。
教育費というのは家計の三大支出と言われていますが、とはいえ優先順位を考えると生活費や自動車など、生存するために必須の出費は何よりも優先され、教育費はそれよりま後回しになります。
今の日本はデフレ不況の真っ最中で、さらに増税や原料高による物価高、円安による物価高、半導体不足による製造業の減産、などで収入が減って支出だけが増えていく、という阿鼻叫喚の地獄のような状況です。
そんな中で子供の教育に十分な資金を充てられる家庭は、かなり恵まれた家庭と言っていいでしょう。
今だけでなく、日本はここ20年以上もデフレの一途で、日本人の賃金は低下を続け、いまや先進国で最下位レベルまで落ちてしまいました。
たしかに、家が裕福じゃなくても学校の勉強を頑張って見事難関大学に合格する人もいますが、かなりの少数派であることは誰も否定できないと思います。
不況により賃金が下がる、ということは結果的に子供を育てる親の、心の余裕や子供に充てる時間の減少につながります。
なぜなら、賃金が下がっても支出は容赦なく増えていくので、残業や休日出勤などして給料を確保しないといけなくなります。そうなると身も心も疲弊して心の余裕もなくなりますし、家庭での時間そのものが減少していくことになるからです。
そういった疲弊した親の下で育った子供はもちろん、ほとんどが元気でたくましく育っていくことになりますが、十分な教育を受けられる【心構え】が備わりにくくなります。
この心構えというのは、知的好奇心を満たせたときの充実感などですね。子供というのはそういった小さな経験の積み重ねで、教育を自発的にスムーズに受けられるための土壌を整えていくんです。
ただ、日本ではこういった、子供を育てる親が疲弊しきっているという状況、がもう20年以上も続き、そしてこれからもさらに加速していくことが決定しています。
そんな過酷な環境の下では、いくらYouTubeで無料でなんでも学習できる時代になったとはいえ、高校生の学力が低下していくのはごく自然なことなのです。そもそも学習意欲がわきにくいし、自分で学習する方法、興味の持ち方もわからないんですから。
②教育のための環境が失われ続けているから
子供を育てる親の話をしましたが、教育現場で働いている教師もそのうちの一人です。
現在の日本の公立学校に充てられる国家の予算は減少の一途です。国が借金まみれなので経費を徹底的に削減する、という理屈で財務省が予算をカットし続けているからです。
当然予算が削られると現場の労働環境は過酷なものになります。まずは徹底的に人件費を削減することになるので、教師の数を減らし、期間限定の非正規に変換していきます。
その一方で、教育のICT化や、伝染病対策を現場丸投げでさせているので、ネットでは勉強を教えるどころではない教師の悲痛な叫びがたくさん見つかります。
また貧困化によって心の余裕もなくなった保護者への対応、スマホ、SNSの発達によって常に生徒に監視されることによる行動の制限など、
そんな状況にもかかわらず、何かあったらすべてが現場のせい、教師のせいになってバッシングされる。
教育の現場はまさに阿鼻叫喚の地獄と化しています。
こんな環境では教師はまともに授業を進めることもできませんし、生徒たちも授業を受ける態勢になりにくい、という凶悪な循環が発生しているので、
とうぜん学力は低下します。
教育格差はなぜ無くならない?
教育格差は所得格差です。所得格差が是正されれば教育格差もマシにはなります。
ただ、所得格差は今後も徹底的に広がっていきます。つまり、教育格差も無くなるどころか今よりもさらに広がっていきます。
なぜなら国民がそれを望んでいるからです。
テレビなどを観ていると所得の格差は「自然現象」のように取り扱っていますが、それは違います。所得格差を生み出しているのはまぎれもなく【政治】です。政府が施行する経済政策によって私たちの状況はいくらでも変化します。
でも日本の多くの国民は政治に興味を持たずに選挙にすら行かずに文字通り「何もしていない」状態です。
民主主義において「何もしない」というのは「為政者を全力で応援している」ことと同じになります。
つまり現在の所得格差や教育格差は、国民が望んでいるからそうなっている、ということです。
「いやいやそんなの望んでないし、政治家なんて誰も信用していないよ!」
とみんないうと思います。もちろん、意識して自覚を持って、所得格差や教育格差を生み出す政府を応援しているわけではないでしょうが、
政府を応援している人と、まったく同じ行動を取っている、ということです。
なのでこの流れは止められません。
何年も経ってから過去を振り返ったときに、
「あ、2022年って天国だったんだな」
と思う時が必ずやってきます。
まとめ
今回は日本の高校生の学力低下や教育格差について、どちらかというとマクロ的な視点で考えました。
日本の状況をマクロでみると本当に暗い気持ちになりますが、こんな状況でもなんとか高校生の学力の低下を遅らせる方法はあると思います。
まあ選挙でしか世の中は変わりませんが、そうするにはこの先何十年かかるかわかりません。
今できることって何なんでしょう。私レベルにわかるなら誰も苦労はしないんですが、あきらめずに考えて試していくしかありません。